2010.07.27 Tuesday
目のつけどころが違う、シャープ!?
鬼頭勝之著『女たちの徳川』ができてきた。120頁弱の小冊子だが、その中味は重い。いかにも鬼頭先生らしい本になった。
先生は虚無僧や忍び・芸人など、あまり一般的でないものに関心を持たれている。この「すき間」「ニッチ」をねらったところに独自性と面白さがあり、先生の著作の魅力の一つとなっていた。この本も現代史学が見落としている情念や怨念の世界がまことしやかに描かれている。 歴史はいまのように近代的・合理的に解釈できるものではない。そこには山伏や祈祷師などの暗躍する呪術や占いの怪しさがあり、人々の精神はこれに大きく支配されていた。副題にあげられた「伊勢上人・熱田上人・千姫・お亀の方」はその代表例でもある。 先生は司馬遼太郎の描くような、男中心の史観には興味をお持ちでないようだ。とりわけ殺伐とした戦国乱世を女の目で見ておられ、新しい史観を確立したいとの意欲までうかがえる。尾張藩が“御陣女郎”お亀の方の女系図で出来上がっていたのは、先のこのブログでも紹介した通りである。 本の題名もいい。『徳川の女たち』ではなく『女たちの徳川』。売れるとは思えないけど、それなりに話題にはなるのではないか。 |